デリバティブ・ハウス・オブ・ザ・イヤー(日本):BNPパリバ

BNPパリバはアジア有数の金融専門誌であるアジア・リスクが主催するAsia Risk Awards 2019において「Derivatives house of the year Japan」を受賞しました。

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本記事は2019年9月にRisk.netに掲載された記事の抄訳となります.
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超低金利と低ボラティリティ環境下に長らくある日本の機関投資家は、伝統的な投資商品やトレーディングから、RWA=リスクアセットを低く抑えながら運用リスク対比のリターンを最適化する運用ソリューションへとシフトしつつあります。

BNPパリバ証券 取締役 グローバルマーケット日本・韓国統括責任者兼アジア地域機関投資家営業統括責任者 岡澤恭弥

このような困難なマーケット環境において、BNPパリバは、定量的投資戦略(QIS:Quantitative Investment Strategies)を始めとした、利回りを効率的に高めるクロスアセットソリューションを推進しており、日本の保険会社に対してカスタマイズを行うだけでなく、アセットマネジメント会社や銀行のニーズにも対応する商品開発を行っています。顧客は、マーケットの時勢に合う、高度かつ堅固なパフォーマンスを生み出すQISの提案・組成能力から、BNPパリバを信頼できるパートナー・この分野におけるリーダーと見ています。

BNPパリバが提供するQISを活用した運用資産は2桁%を超える成長を続けており、常に変化するお客様のニーズや規制の動向に合わせ迅速に対応していると、BNPパリバ証券 取締役 グローバルマーケット日本・韓国統括責任者兼アジア地域機関投資家営業統括責任者である岡澤恭弥氏は述べています。

「市場が絶えず変化しているものの、低利回りと低ボラティリティという二重の困難は深刻化するばかりです。」と岡澤氏は述べます。「日本国債の利回りが今後回復するとBNPパリバは考えておらず、またお客様もお考えではありません。したがって、QISの重要性は益々高まるでしょう。BNPパリバのクロスアセットソリューションは、カスタマーエンゲージメントから商品開発・販売に至るまでのエンドツーエンドアプローチを採っており、お客様に貢献しています。」

BNPパリバは、クロスアセットのアプローチを、伝統的なディストリビューション(国内販売会社向け商品提供)ビジネスや保険ソリューションといったビジネスに適用しています。これらのビジネスにおいて、BNPパリバのチームはすべてのアセットクラスをカバーしたソリューションを提供しています。その体制により、柔軟かつ機敏に市況の変化に対応し、投資機会を見出すことを可能としています。またBNPパリバは、プライシング・トレーディングのグローバルプラットフォームである「Smart Derivatives」を活用することにより、顧客へのサービス提供を自動化しており、そのプラットフォームにおいて2,500超ものQIS戦略を管理しています。
例えば、債券価格が高止まりし米中間で貿易摩擦が続く現状において、すべてのアセットクラスを俯瞰可能なワンストップの体制は、市場環境に適さない商品(オートコーラブル債への資金流入の減少など)を別の商品で補完する必要から不可欠です。また、市況・規制の変化から、保険会社がマーケットリンク型保険商品(変額年金保険など)から金利や為替を活用した商品へのシフトを進める際にも、当体制が機能しました。

” 日本国債の利回りが
今後回復すると
BNPパリバは
考えておらず、
またお客様もお考えではありません。
したがって、
QISの重要性は
益々高まるでしょう。”

岡澤恭弥氏、BNPパリバ

「退職後の収支ギャップが非常に大きいことから、日本の生命保険は巨大な市場です。低利回りと低ボラティリティの環境により、多くの長期性貯蓄はリターンを渇望しています。」と岡澤氏は述べます。「一定の保証が付いたマーケットリンク型商品へのニーズを捉え、BNPパリバは、変額年金保険向けのQISソリューションを提供し始めました。その結果、このセクターの中心的存在へと発展してきました。」
変額年金保険は、保険会社が引き受ける生命保険商品であり、被保険者の死亡時における保証機能が付いた代替的な貯蓄手段として、個人投資家向けに販売されています。

低金利環境の長期化や規制の変更により、保険会社は商品ポートフォリオの見直しを進めるとともに、代わりとなる、顧客ニーズに応える貯蓄性商品の開発に取り組んでいます。

日本の変額年金保険市場において、2002年以降の販売総額は2,000億ユーロ(2,200億ドル)を超えています。BNPパリバは、変額年金保険の最終投資家である保険契約者のニーズに資するようQISをデザインし、その結果、市場の成長に大きく寄与しました。

低利回りの環境で目標のリターンを達成するため、日本の生保・年金業界は、外貨建て商品に活路を求めるようになりました。一方、日本の金融庁は年初に公表した指針で、保険会社と銀行に対し、外貨建て商品に内包される為替リスクと、そのヘッジに関連するコストをしっかり説明するよう指示しています。

これに対応し保険会社は、伝統的な高利回り資産である米ドルや豪ドル建ての商品に関して改めて体制を見直しています。BNPパリバは、このような環境の変化にいち早く対応しました。

「保険市場の目まぐるしい情勢変化に、BNPパリバは常に適応しています。」と岡澤氏は述べます。「販売網の一部では、米ドル建て商品の個人投資家への販売に関して慎重になる中、BNPパリバは、円建て商品の開発を目指し、このたびQISに連動したユニットリンク型商品の発売に貢献しました。」

当該商品は、BNPパリバのマルチアセット指数に連動した元本保証のない円建て商品であり、現行の市場環境に適していると考えられます。

また、BNPパリバは、市場の変化に対応して、定額保険分野においても存在感を高めています。定額保険商品にシフトする動きを感じたBNPパリバは、マーケット初となる機能を有した定額保険商品組成に関わるヘッジにおいても存在感を発揮しており、それらの商品は個人投資家から好評を博しています。

さらに、BNPパリバは過去1年間においても、QIS商品の提供の実績を、保険会社のみならずアセットマネジメント会社や事業法人・銀行など、幅広い機関投資家に築いてきました。

「現在の環境下において、優れたリスクコントロール戦略へのニーズは、保険会社や個人投資家に留まらず非常に大きくなっています。」と岡澤氏は述べます。「BNPパリバは、オーバーレイ・ファンドなどの形態を採ったQIS商品を開発しています。」

銀行、とりわけ日本の地方銀行は、BNPパリバが開発に携わった変額年金保険商品を多く販売しており、それゆえ商品の優位性がよく認識されていると、同氏は述べます。

BNPパリバは、低利回り環境に苦しむ地方銀行に向けたソリューションを提供するため、変額年金保険商品のQIS部分(マルチアセットのインデックスなど)を搭載したファンドの提供を始めました。今後1年間に、30兆円(2,824億ドル)もの日本国債が償還されます。地方銀行は、日本国債以外のアセットクラスへの再投資を行わなければならない一方、現在は米国債も低利回りに直面し、かつ米ドルの為替ヘッジコストが割高となっています。ユーロ資産への投資も同様の苦境に直面しています。

機関投資家が安全資産に逃避する動きを強めたため、8月に入り米国30年債の利回りは史上初めて2%を割り込み、10年債の利回りも3年ぶりに1.5%を下回りました。米国長期債利回りの歴史的な低下は、指標とされる10年 – 2年のスプレッドが2007年以来の逆イールドとなった直後に発生しています。利回り曲線の中で重視される10年 – 2年で逆イールドが発生した直近の3回では、その後に景気後退が起きています。

米 – ドル円の為替リスクをヘッジするために機関投資家が負担するコストは250ベーシスポイントにもなり、米国債と日本国債の利回り格差を相殺しています。そのため機関投資家は、ヘッジ取引を減らさざるを得なくなっています。

” 現在の環境下において、優れたリスクコントロール戦略へのニーズは、保険会社や個人投資家に留まらず非常に大きくなっています。BNPパリバは、オーバーレイ・ファンドなどの形態を採ったQIS商品を開発しています。”

岡澤恭弥氏、BNPパリバ

「BNPパリバはこの市場環境への対応に成功し、マーケットでの評価を確固たるものとしました。」と岡澤氏は述べます。「BNPパリバはお客様のニーズに応えるため、カスタムメイドのQISソリューションを強化しています。お客様のご要望を汲み取り、より高い利回りのソリューション、ボラティリティをコントロールするソリューションなどを適切なタイミングでお客様にご提供し、また、コモディティを入れる・入れないなどアセットクラスを柔軟に組み合わせてお客様の志向に合わせた投資ソリューションを設計することができます。」

「BNPパリバは、QISソリューションを強化するため、G10通貨をカバーする金利営業と株式部門においてクロスセルを行っています。」と同氏は述べます。

これらの投資ソリューションに顧客が効率良くアクセスできるようにするため、BNPパリバは、ファンド形態のソリューションを提供しています。ファンド購入によって、グローバルエクスポージャーの獲得が、日本において容易に可能となります。この新たな販売チャネルにより、BNPパリバが提供する日本におけるQISを活用した運用資産は昨年7,500億円を突破し、2桁%を超えるペースで成長しています。2020年には資産が1兆円にも達する見込みです。

BNPパリバは、日本の銀行向けのQISソリューションにおいて、これは「ほんの始まり」に過ぎないと考えています。日本には金融機関が約500あるものの、BNPパリバのソリューションを活用頂いているのはその5分の1に至っていないと、岡澤氏は述べます。

滑り出しは好調です。BNPパリバは、グローバルに展開している50名規模の知識・経験豊富なQISチームを最大限活用し、伝統的なリスクプレミアム縮小への対応を目的として、機関投資家向けに特化したマルチアセットのロング/ショート戦略の新たな開発を行いました。

当戦略は、市場の急激な反転に対応するために構築されました。より透明性の高いアルゴリズムによって、為替などのポジションを迅速に調整し、市況の変化に適応します。

左から:フレデリック・コスマオ氏(日本、グローバルマーケット統括本部、株式派生商品開発部長)、澤田和子氏(同本部、保険ソリューション部 担当部長)、ならびに森智之氏(同本部、機関投資家営業第三本部長兼金融商品・クロスアセット営業総責任者)

「このアルゴリズムによって、お客様は2018年第4四半期に起きた市場の混乱を乗り切ることができました。この時期、多くの金融機関投資家のロングポジションは損失を被り、オルタナティブ投資のパフォーマンスも低迷しました。」と岡澤氏は述べます。

直前の四半期において、全世界の株式市場は大きく崩れました。コモディティ指数は、需要に関する不安と供給過剰への懸念によって急落する一方、債券利回りは、政治経済の不確実性が続く中、リスク回避志向とボラティリティの高まりを受けて低下しました。これらの環境の変化により、オルタナティブ投資にとっては世界金融危機以来最もパフォーマンスが低い一年となりました。

もう1つの例が、金利戦略の成功です。BNPパリバは、単一のアセットクラスにおいて、複数の金利ファクターを組み合わせた戦略とソリューションも提供しています。

「BNPパリバは、前述のマルチアセット戦略に重ねて、日本のお客様に特化した商品を開発しました。この商品は、変則的な金利変動に対処するために、残存期間の短い、ディフェンシブで安定的なリターン特性を円ベースで作り出すことを目指すものです。」と岡澤氏は述べます。「このように安定的で、インカムをベースとするファンドは、低リスクの資産や低ボラティリティ、そして限定的なドローダウンを志向するお客様から高い評価を頂いています。これとは対照的に、高利回り外債をベースとした戦略は、現行の信用スプレッドの低さや為替ヘッジコストの高さによって、より高リスクの商品となります。」

BNPパリバの金利ファクター戦略によりもたらされるアルファは、ベンチマークの世界債券指数対比、2018年第4四半期にピークを付け、今年に入ってからもこれに近い水準で推移しています。

顧客はBNPパリバのQIS戦略の堅固さ、マルチアセット分野における知識・経験、そしてカスタムメイドのソリューションを作り出すソリューション力を称賛しています。

「BNPパリバは高度なQIS戦略を有しており、仕組債とお客様向けファンドマーケティングの双方に関して、当行専用のQIS指数を組成しました。」と、日本の大手銀行の幹部は証言します。「QIS戦略の設計は非常に巧みと言えます。リバランスを毎日きめ細かく行うマルチアセット戦略により、ロングポジションのみならずショートポジションも取り、既存のマルチアセット戦略をアウトパフォームしています。また、当行は他の投資銀行とも取引を行っていますが、これらに比べても、BNPパリバのQIS戦略のパフォーマンス、サービスの質、そして運用の手堅さは並外れていると考えています。」